TURBOSHOP M・ターボショップM

ターボショップM トヨタランドクルーザー(ランクル80)ニューハイフローターボ(タービン)

ターボと相性がいいけれどパワーに不満がない訳じゃない!

ターボチャージャー(以下:タービン)というのは、元々は産業用重機や船舶のディーゼルエンジン用として開発されたモノ。しかし、今こうして業界を見回してみると、クルマ用としての需要がほとんどなのではないだろうか?と思えるほど、広く世間に知れ渡っている。
クラフト読者の愛車であるクロカン4駆の世界を見てみると、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの比率はディーゼルに軍配が上がる。そして、そのディーゼルエンジンには、後づけにせよ純正にせよ、 ターボ付きエンジンというのがかなりの比率を占めているのが現状といえるだろう。これは、ディーゼルエンジンとタービンとのマッチングが良いため。ディーゼルエンジンは、せいぜいブン回しても5000rpmくらい。

 しかも実際に使える回転数は、それより低い場合がほとんどだ。しかし、これがガソリンエンジンになると話が変わり、低いもので6000rpm、エンジンによっては8000rpmオーバー、レーシングエンジンに至っては、 軽く1万rpmなんていうのもあるほど。つまり、常用で使用する回転域が狭いほど、タービンとの相性が良くなってくるのだ。
そんなわけで、ディーゼルターボというのがディーゼルの主流となっているのだが、実際にはそれでも満足できないというオーナーも多いのが現状だ。例えば、クロカンでは使い勝手のいいディーゼルターボでも、一般的な走行では動力性能に不満が残る。また、ディーゼル車としては良く走るのだが、同じ型のガソリン車と比べてしまうと俊敏さに欠ける…など、今このページを読んでいる人にも、思い当たるフシはあるだろう。
とにかく、ノーマルのディーゼルターボというのは、あくまでもベースのエンジンをチョイっと底上げしただけのレベル。フィーリングや動力性能を見てみると、不満だらけというのが結構多いのだ。たとえディーゼルエンジンとしてはパワフルと定評の「1HDエンジン」でも、例外ではない話といえる。
   
ノーマルターボとハイフロータービンチューンド比較
TURBOSHOPMハイフローターボとノーマルターボ風量のヒミツ
   

タービンの老舗が送り出した最高傑作のポン付けキット

 そして、今回紹介するキットだが、ランクル80の1HDエンジン用。キット内容はCT26ベースのハイフロータービン、ブーコンシャフト、ブーコンシャフト用セットスプリングの3点で構成される。メインとなるタービンはオリジナルのハイフロー加工が施されているため、外見はノーマルのCT26タービンそのもの。しかし内部を見てみると、このショップのノウハウが集約されているのが分かるほど、実に様々な加工が施されている。まずエキゾースト側では、羽根の形状とサイズはそのままに、ハウジング内部の加工を施すことによって、排圧とレスポンスのバランスを取っている。また、コンプレッサー側では、羽根をノーマルより大きなものを使うことにより、ノーマル比約2倍という絶対的な風量を稼ぎ、なおかつエンジンとのマッチングをはかるためにカットバックを調整。さらにその羽根の形状に合わせて、ハウジングの内部にも加工が施されている。
もちろんこれらの加工だけでなく、誌面では書けないような、さらに細かいノウハウがぎっしりと注入されており、まさに技術力なくしてはなし得ないタービンといえるのだ。
 不満があればチューニング、というのがクラフト魂。ブーストアップといった初歩的なものもあるが、今回はさらにワンランク上のチューンを紹介したい。そう、タービンの交換だ。それも、ボルトオン交換が可能な ポンづけタービンのキットだ。
今回紹介するターボキットは、北海道の札幌市内にあるターボショップMが製作及び販売している「ハイフローターボキット」。
まずは、このショップのことを紹介するが、ここは4駆専門のチューニングショップではないので、クラフト読者にはあまり馴染みのない名前だろう。簡単に業務内容を説明すると、ショップの名前のとおりタービンの販売修理はもちろんとして、ATミッションの修理&強化、エンジンオーバーホール、チューン全般などなど、実にマニアックかつ幅広い業務を行っている。
TURBOSHOPMトロフィー達
TURBOSHOPM工場内部
TURBOSHOPM工場内部タービン在庫
       

日本に3軒しかないあるテスターを持つ強み

タービンというパーツは、毎分何万回転という高速で回転し、しかも排気ガスの力で羽根を回すため、常に熱にさらされている。使用環境を考えると、極めて残酷なパーツといえるだろう。それでいて、羽根の形状や
サイズ、A/R比などによって、実に様々な性格を持たせることができるので、中途半端な技術力では手がつけられない部分。しかしこのショップでは、1台数千万円もするという、日本に3台しかない高性能なタービンバランサーを使い、修正や加工、チューニングを行っているのだ。このことが、どのくらいの信頼になっているか?というと、各メーカーやチューニングショップから依頼も来るというほど。とにかく、アタマで考えている以上に、高品質なタービンのバランス取りを行っているのだ。

ターボテスター

 さらに、国内外の車は当然として、船舶、工業機械のエンジン!!などなどエンジンの種類を問わず、数百種類にも及ぶタービンのデータを集積し、これらすべてのタービンのオーバーホールを行っている、まさにタービンのエキスパート。もちろんオーダーによっては、すべてのタービンをオリジナルの味付けに加工する…なんていうのは朝飯前とのこと。
そしてもうひとつ。代表である八柳氏は、もともと技術畑の出身で、メーカーの技術者もうならせるほどの知識と経験を蓄えている人物。つまり、エンジンやタービン、クルマ本体のことまで知り尽くした八柳氏が送り出したのが、今回紹介するタービンキットなのだ。
さて、前置きがかなり長くなったが、これだけ技術や実績があるショップのタービンキットとなれば、興味がイヤでも湧くというもの。実際にランクル80に装着しテストを行ったが、はたしてどういうフィーリングのモノなのか?どういったパフォーマンスを見せるのか?じっくりと読んでいただきたい。ちなみに、現在4駆用で出回っているハイフロータービンの中にも、ここターボショップMで加工したモノが結構あるって知っている!?
   
   
ノーマルの「カラダが前にいく」加速度に思わずビックリ!?
まず、テスト車輌のノーマルの状態を説明しよう。1HD-T搭載のこのランクル80は、最高出力165PS/3600rpm。この数字だけを見ている分には、十分なのでは?と思ってしまう。しかし、そこに車重約2.7tが乗っかると話は別。どうしてもクルマの重さが目立ってしまうのだ。これは実際走ってみると感じるのだが、とにかく重い。特に、今回のテスト車輌のようなAT車ではなおさらのことだろう。

 発進では、アクセルを踏んだ瞬間にエンジンは反応せず、少しタイムラグがあってから出力がATに伝わる。そしてATに伝わった動力は、さらに一呼吸置いてからタイヤへと伝わる感じなのだ。さて、そこから加速体制 に入るのだが、アクセルペダルが曲がるのでは?と思えるほど床までアクセルを踏みつけても、クルマは一向に加速らしい加速を見せてくれない。これを分かりやすく表現するなら、加速しようと身構えたカラダが、逆に前にいってしまうくらいだ。100km/h+αの速度への到達時間も長く、その速度を維持するのにも右足に力が入る。もちろん上り坂では速度ダウンは否めない。とにかく、常に車重の重さを感じてしまうほどのフィーリングなのだ。


ハイフローターボとノーマルターボ比較
       

高速セッティングのターボしかし市街地〜高速まで変身!!

ガレージへと戻り、熱したエンジンを冷やしてから今回のターボキットを取り付ける。ボルトオンなので、作業は比較的容易に行われる。取り付けの終わったエンジンルームを見てみると、作業前と全く同じ光景に妙な感じがする。それもそのはずで、ノーマル改ハイフロータービンなので、外見はノーマルと全く同じだからだ。エンジンチューンというと、どうしてもエンジンルームの見た目でも判断してしまうフシがあるが、もしそういう見方をするなら、間違いなく効果など期待できない!!と思えるほどノーマルと変わらない。
タービン交換を終え、先ほどと同じテストコースへと向かった。すると、ガレージを出発してすぐに感じることができたのが、アクセルに対するエンジンのレスポンス。ノーマルでは感じたタイムラグが感じられないのだ。いやっ、厳密に言うとタイムラグはあるのだが、エンジンの立ち上がりが速いので、それが気にならないレベルなのだ。そしてなにより、クルマが圧倒的に軽く感じるようになった。しかも、ここまでのフィーリングは、すべて市街地でのこと。つまりフルスロットルではなくアクセル半開で、エンジン回転にして1000〜2500rpmという回転数の話だ。八柳氏によれば、中速〜高速クルーズ用にマッチングをはかった設定とのことだったので、もっと高回転寄りのセッティングだと
思っていたのだが、全然そんなことはなく、逆にノーマルよりも使いやすい。間違いなく低中速域が小気味よいトルクに溢れている。
さて、ここからは本領を発揮する高速クルーズだ。テストには高速道路を使用したのだが、まずは料金所からの立ち上がり、つまりゼロ発進から。これはハッキリいって、全く別のエンジンといえるほどの変貌ぶりを見せた。
ここでは計測したタイムが明らかにその事実を伝えるのだが、大風量タービン交換後にありがちな「どっかんターボ」というのではなく、アクセルを踏んだ瞬間から加速体制に入れるという、使いやすい性格に変わったのである。もちろんノーマルの時のような「カラダが前に行く」という鈍くさい加速ではなく、グイグイと車体を引っ張る力強いものなのだ。しかも、パワーカーブがフラットなので実に扱いやすい印象を受けた。
このキット狙いである高速走行では、右足に入れる力が半分以下となるので、ノーマルと同じペースで走るなら非常に楽に巡航できる。また、追い越し加速や上り坂でも、ボディを軽く感じさせるほどのトルクは有効で、常に無理をしないでも、ラクラク流れに乗って走る事ができる。
ちなみに最高速は…法定速度を軽々とオーバーする。ノーマルを遥かに上回るのは言うまでもない。80用のタービンとしては、ほぼ中間の風量を持つこのタービンは、爆発的なパワーを求めないかわりに、全域での使いやすさと、80というクルマとのマッチングを考えた、非常に好印象を受けたキットであると感じた。
(4WD CRAFT特集より)

ターボショップMポン付けハイフローターボで驚異の加速


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